VM-1グランプリ2024動画制作裏話とか

2025/01/15

こんにちは! つぶやきPです!
この記事では以下の動画について制作裏話をしていきたいと思います! ネタバレがもりもりだからまだ見てない人は見てから読んでくれよな!


この動画はVM-1グランプリ2024参加作品ですが、VM-1グランプリとは合成音声ソフトを用いて作られた漫才の面白さを競う大会です。詳しくは以下に。


脚本について


なかなか台本が書けない


今年のネタはマジで難産も難産でした。これ毎年言ってるけど毎年ネタのできなささを更新しているから仕方がない。

「誕生日」というテーマと、それに伴う漫才の出だしは去年の冬頃には既に思いついていましたが、たたき台としての通しの台本ができたのは2024年10月くらいでした。しかしなんか納得いかず「イントロはそのままに別の展開ができないか」ということを考え、実際に別の展開を2本ほど台本に書き起こしてみたりもしました。
しかしその2本もそれぞれ半分くらい書いたところで着地点を見失い、オチも思いつかず失速してしまいました。ということで結局それらは没にし、最初に書いた台本を磨き上げていく方針に固めました。

没にした2本も結構光るものは感じたので今後何かの形で再利用できたらいいんですけどね……テーマは全て同じ「誕生日」だから難しいかな……。

AKAITOの誕生日について


そもそもこのネタの出発点は「AKAITOの誕生日は諸説ある」というところなのですが、改めてその説明を。

まず、KAITOの誕生日が複数あるというのは有名な話ですね。以下の日程が一般的にKAITOの誕生日と扱われています。
  • 2006年2月14日 V1発売(ヤマハ歴)
  • 2006年2月17日 V1発売(クリプトン歴)
  • 2013年2月15日 V3発売
これらは発売元だったり別エンジンだったりで、誕生日とはっきり言える公式の理由がそれぞれあるため誕生日が複数あると言えるのですが、AKAITOの場合は少し話が難しくなります。

まず、ニコニコ大百科に載っている誕生日は2008年2月12日となっていますが、こちらは以下の作品が投稿された日付になっています。
これが現在、ピアプロで「AKAITO」タグがついている最古の作品です。
しかし、この作品のタイトルは「赤KAITO」であり、単なるKAITOのカラーバリエーションとして描かれた可能性があるとの見方もできます(AKAITOタグも後から付けられた可能性が高い)。

そのため、これの次に古い作品でかつ明確に「AKAITO」の名前が使われている、以下の作品が投稿された2008年2月15日をAKAITOの誕生日とみなす派閥もいるようです。
また、ニコニコ動画でのAKAITOの最古の動画は2008年2月28日に投稿された以下の動画であり、この動画には「AKAITO誕生」タグが付いています。


このように「誕生日とみなせる日」自体は複数あるのですが、亜種の運命とも言うべきかどれを誕生日とするかは人によって意見が別れているようです。
この辺は深く突っ込もうとするといろいろめんどいことになりそうだし、さらに他の説もあるとさえ聞いたことがあるので、漫才では「2月のどっか」とぼかしています。
ちなみに私は推しの誕生日を全然覚えられないタイプのオタクなのでAKAITOの誕生日に関してもあまり深く考えていません。

ボケツッコミ逆転


漫才の主軸を「誕生日プレゼント」に置くことを決めた時から、ボケツッコミ逆転をやろうというのは考えていました。
AKAITOは漫才ではツッコミですが、日常系のトクロ動画だと割とボケもやるのでボケのポテンシャル自体はあるし、ボケツッコミ逆転やりてェ~~とはずっと思っていたので今回ようやくできそうな機会を得ました。

しかし台本を書いてみて気付いたんですが、ボケツッコミ逆転めっちゃムズいです。というのも、ツッコミをボケに転じさせるタイミングを慎重に考えなければならないからです。
ボケツッコミ逆転の魅力のひとつとして、「ツッコミがボケに回ることのギャップ」があります。 笑い飯みたいに高速でボケツッコミをスイッチするという手法もありますが、今回はそれが難しそうだった(というかトリオでやってる時点でムズい)のでギャップを狙う方針にしました。

となると、最初はAKAITOはツッコミをメインにしないといけないわけで、ネタ内でもある程度筋が通っているまともな人物として描かれなければなりません。
そしてそのツッコミがボケになるということはすなわち、「ツッコミだった人間の様子がおかしくなる」ということになります。
とはいえ、ツッコミ役が突然ボケになっても聴衆は「えっ突然どうした?」と展開に置いてけぼりになってしまいます。置いてけぼりを防ぐためにも、ツッコミ役が「徐々に狂っていく」課程を描写しなければ不自然になってしまうのです。

これが、これがマジで難しい。

当初は最後の最後で1回だけ逆転する、ということを計画していました。中盤で無線イヤホンや靴下のくだりがありましたが、あれの品数をもっと増やしてあの流れを続け、終盤でAKAITOが妙なことを言い出すという流れです。
しかしこれだとどうあがいても最後の展開が唐突に感じてしまい、この流れは没に。そうしていろいろ試行錯誤するうちに、現在の「中盤から徐々にAKAITOがボケる」という形になりました。

中盤以降の分解の流れでのボケの大きさもいろいろ考えました。最初はジャブ程度の、まだ何言ってるかわかるボケから入って、そこから段々加速して……という風に。
ただ、これができてるかはあまり自信がないです。チェスまでジャブなのに時計でいきなり全力ストレートになってないか? 文字盤を分解とかさすがに意味不明すぎんか? まだカレーの方が筋通ってないか? でももう分解できる物自体がそんなに残ってないんや……

なお、序盤から28個も欲しい物がないことを強調したり、金塊28個とか抜かしたり、冗談を言ってみたりなど、ツッコミメインとはいえ序盤からボケをちょくちょく挟むことで展開の伏線は張っています。

そもそも分解出来る物が少ない


上でもちらっと述べましたが、分解できる物って意外と少ないです。

まず、オチに食べ物を持ってくるため、オチまで食べ物が使えません。同様の理由で粉もの(入浴剤など)も使えません。
また、分解できてかつプレゼントにふさわしいもの(色鉛筆など)は逆にネタにしづらいです。
苦し紛れにチャットGPTに「分解できる物といえば何か」などを聞いてみたりもしましたが、既に私が考えたことのあるものばかり羅列されました。

ネタを考えている期間中、「身の回りのもので分解しがいのあるものはないか」とずっとジョジョのアナスイみたいな思考回路になっていました。ネタにアナスイを出さなかったことを褒めてほしいです。

その他ネタについて


  • 「金塊28個」の即答ぶりが気に入っています。
  • アドベントカレンダーの説明のくだり、たこルカの台詞は最初は「AKAITOくんの欲しい物を詰めたアドベントカレンダーを作って、毎日プレゼントをあげようって今思いついたの」でした。しかしネタを時間内に収める為に「毎日プレゼントあげよう」のところを削ったところ、コメントで「28日分だと誕生日3/1になるやん」という指摘がありました。毎日誕生日にするんだという話自体は中盤に出てくるとはいえ、「カウントダウンのためにアドベントカレンダーを作るわけではない」とわかる何かは残した方がよかったかなあと思っているところです。
  • 「毎日が誕生日」でおジャ魔女カ~ニバル理論やめろ、というツッコミをさせるつもりでしたが、調べたらこれは2番歌詞だったのでやめました。使ってたら危うく「毎日が日曜日では……?」と聴衆がざわつくところでした(そもそもおジャ魔女カ~ニバルを全員が知ってるとは思わない方が良い)。
  • 「柿ピー柿柿ピー柿ピー」は男女男男女男女を入れようとした名残です。だから男女を全員が知ってるとは思わ(ry
  • パズル500ピースの部分は当初は100ピースのつもりでした。しかし私がパズルに詳しくないのと、パズルピースは小さいイメージだったので100ピースでも入るし3000ピースパズルもそんなに難しくないのでは?と思って5倍にしました。調べてみたら2000ピースから超大作だそうです。ちなみにピース数世界一のパズルは55万ピースらしいですね。じゃあ15000ピースとか余裕だな。
  • チェスの駒は全部で32個なので、実は28駒じゃ微妙に足りないです(コメントでも言及されていました)。しかし聴衆全員がチェスの駒数を把握はしていない(し実際私は28駒で足りると思っていた)のでチェスの駒の数についてはネタ内で言及しませんでした。

調声について


最初に打ち込んで調声して、音声に書き出して合わせたものを聞いた時は「なんだこれはやる気あんのか?」となりましたが、細かい調声を繰り返し、BPMの調節も行ったことで一定の水準の面白さは確保できたかと思います。やっぱり調声って大事ですね。

特に今年実感したこととして、「速ければいいというものではない」というのがあります。
今回は最初に合わせた音声が6分あったため、なんとかして時間を縮めるためにネタを抜く他にもBPMを速くして少しでも時間を短くできないかと悪戦苦闘していました。
しかし喋りが速すぎると頭がネタについていけなくなるんですよね……昔は「速ければ速いほどいい」と思っていましたが、最近はそうでもないのでは? と思うようになってきました。私が年をとったからかもしれない。
ただ今回はとにかく時間を縮めることに必死だったため、速すぎる箇所がちょくちょくあるかもしれません。気にならない程度ならいいのですが……。

なお、今年から「V4で一括で台詞を全て打ち込んでから、それぞれのエンジンに読み込ませて調節する」という手法を取っています。
たこルカとかはV4でもV2ライブラリインポートで喋らせられるのですが、以下ポストにあるようにV4とV2で喋り方に大きな差が出てしまうため、結局V2に読み込ませて調整しています。
この手法の利点は、「BPMを気兼ねなくたくさん変更できる」というところですね。今までの3エンジン3窓方式だと3エンジンそれぞれでいちいちBPM変更を入力しなきゃいけなくてめっちゃダルかったんですよ……。

さらに今年から「音符の配置による大まかな音程に加えて、PITを手描きで描くことによって細かな音程の差を出す」ということもやっています。これによる変化は微々たるものだと思いますが、例年よりは自然な喋りになっているでしょうか?

動画について


今回はDaVinci Resolveに「りぞりぷと」を導入してPSDを取り込みました。今までは描いた絵を一枚ずつ手動でPNGに書き出していたので、かなり手間は減ったと思います。



立ち絵の差分は、ポーズが24種、表情が77種です。うーん今年は少ないな(感覚の麻痺)。

おわりに


だいたいこんなものでしょうか。
今年優勝したら至上最多の4冠かつ至上2組目の連続優勝ってことですか? ひえ~~~~~

ひとまず結果発表までは胃痛がヤバいですが、ココロオドルのMVを作りながら気を紛らわせようと思います。
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ということでここまでお読みいただきありがとうございました!



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