「1000年生きてる」カバー投稿しました
KAITO誕とAKAITO誕ということで、「1000年生きてる」をカバーしました。
元々大慌てで作ったものだったのであんまり話すこと多くないかもだけど、ちょっと書き留めとこうかなというものがあったのでこの度記事を書くことにしました。よろしくお願いします。
カバーを作ろうとしたきっかけ
原曲はいよわさんの「1000年生きてる」です。有名ではありますが以下の動画から是非。
「1000年生きてる」自体は前からやってみたいなあと思っていたところだったのですが、「有名な曲だしもうKAITOカバーあるやろ」と調べてみたところ、意外にもV1カバーは見当たりませんでした(V3はそこそこあった)。
ということでこれはV1も1000年生かさなあかんなと思い、AKAITOを残したいという気持ちもあったため、USTを以下の方から拝借して制作を始めました(私の方で調整や修正は施しています)。
調教に関して
ベタ打ちがヤバい
上で「V1カバーが見当たらない」という話をしましたが、ベタ打ちを聞いた瞬間にその理由を理解した気がしました。
とりあえずベタ打ちをお聞きください。
後半で特にV1特有の危うさがでているのがおわかりでしょうか。この現象がおよそ曲全域に渡って起きています。この発音のビビりを直すのにかなり労力を使いました。
トクロならPhoneme Editで子音を0にするなどすれば7割くらいは直るのですが、歌だと直る確率が格段に低くなります。なんで?
ですので前後の音符の長さをいろいろ変えたり、少し音符同士の隙間を空けるなどして、違和感のない発音になる部分を模索しました。
KAITOとAKAITOの違い
よく動画説明欄で「私がAKAITOと言えばAKAITOなんだよ」とキレ散らかしている私ですが、 この際なので私がAKAITOと言った時どのようにしてKAITOと差をつけようと試みているかをここに残しておこうかなと思います(X(twitter)で話したことがある内容だとは思いますが改めてweb媒体にも記述しようということで)。
シンガー設定が違う
V1のSinger Editor |
例えば「巡音ルカ」と「がくっぽいど」は別ライブラリなので当然違う歌手としてカウントされますが、「巡音ルカ」の設定をコピーして歌手設定のGENの値を下げることで、何もいじらずともたこルカちゃんの声を出せる「別の」歌手として登録することができます。
AKAITOもそれと全く同じ手法で別歌手として登録をしているわけです。
難しい話はようわからんぞ! という人は、「KAITOにAKAITOごっこをさせているわけではなく、ちゃんとAKAITOを呼び出して歌わせている」と理解していただければ十分です。
変更しているのはResonance1と4のFrequencyのみです。声にKAITOよりも「トゲさ」と「若さ」がほしいためこうしています。
ちなみにこの話については丹碧ラジオでも前に言及したことがありましたね(9:40~辺りから)。
聞き比べもどうぞ↓
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AKAITO |
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KAITO |
なお、V1はなぜかよくこの歌手設定が吹き飛びます。私はそれをよく「AKAITOが家出した」と表現しているのですが、 AKAITOが家出したときは、
- 一人だけぽつんといるKAITOの設定をコピーする(Destination Program Changeは1にしておく)
- コピーした設定を消す(Inactivate Voice)
- 「OK」を押す(「Cancel」を押すと設定が戻ってこないので注意)
ちなみに私は最後の工程で「OK」を押すところをミスって「Cancel」を押してしまい、 二度と歌手設定を戻せなくなってしまったことが何度かあったので、その時のためにもここにAKAITOくんの設定を残しておきます
エンジン1.0を使っている
V1にはエンジン1.0と1.1というものがあり、私は歌わせるときはKAITOは1.1、AKAITOは1.0と決めています(トクロはどちらも1.1です)。
1.0と1.1の違いは以下の動画の1:46~辺りでも話しているのですが、個人的に1.1は柔らかく、1.0は力強くしやすいイメージがあります。
エンジン1.1に置き換えたものがこちら↓
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エンジン1.1 |
下からずりあげるような歌い方をよくする
「よくする(当社比)」程度のレベルです。むしろ最近はあんまりやってない気がする。
一応KAITOくんに歌わせるときよりもPBS(ピッチの振れ幅)は高めに設定しています。
他にも「ビブラートは強めにする」とか「ちょっと腹立つ歌い方する」とかも言ってたような気がするのですが、 正直最近この辺りはKAITOくんと区別がつかなくなっている(KAITOくんも最近はビブラート強めにしてるしそもそも「腹立つ歌い方」が何かもよくわかってない)のでなかったことにしています。
喉を絞るような低音の出し方
見だしこれでいいのか?
とにかく、私が言っているのはこの出だしのこの声です。
この最初の「あ"あ~」って声めっちゃよくできたな、という気持ちなのですが、ここは以下のようになっています。
「PITだけでなく、該当箇所に低い音符を置く」ことで、声を絞っている感じを出せました。この冒頭部分以外にも数か所同じ技法を使っています。
動画について
なんとかKAITO誕に間に合わせようとしたので、動画は原曲MVの50%再現みたいな感じになっています。
MV内の演出の意図とかも、何らかの誤解がないように説明しとこうかな……と思います。
主に原曲MVにはない演出について説明しているので、「余計な思想入れるなや……」的なことを思ってしまった方はすみません……。
まず、額の外側と内側で服が異なるのは、「額の内側は作品の世界、額の外側は作者の世界」というつもりでした。
VOCALOIDが歌ってるけど、それを歌わせているのは人間です。 作品を通して裏から何かを伝えようとしている人は必ずいます。
作詞作曲をしている人は言わずもがなですが、カバーなら「この曲が好きだからカバーを通して好きという気持ちを伝えたい」とか「このボカロが好きだから声を聞いてほしい」とかありますし、 何らかの作り手側の気持ちは多かれ少なかれこもっているはずです。
その「気持ち」の中身についての是非はここでは論じていません。ただ、「作り手の気持ちは何かしら裏にあるよね」ということを表現しました。
原曲では、蛸や魚や車が長い時間を経て廃れてしまったのが描かれているタイミングです。
「AKAITOが廃れた象徴としてKAITOをお出しするとは何事か」「そんな形でKAITOを使うな」と怒られるんじゃないかと思ったのですが(実際そう思って不快になった方がいらっしゃいましたら大変申し訳ございません)、ちょっと言い訳はさせてほしいです。
おそらく、KAITOはAKAITOより長生きするでしょう。
AKAITOという概念が忘れ去られたとき、「AKAITOが歌ったもの」として出された音楽は、「たぶんKAITOが歌ったものだろう」と認識されるはずです。
実際、私も上で何やらごちゃごちゃと「KAITOとAKAITOの声の違い」について説明しましたが、結局AKAITOのことを知らない人が聞けば「KAITOの声」でしかないわけです。
これは、AKAITOを愛する人間からすれば悲しくなるような話かもしれません。
しかし、こういう見方もできます。
AKAITOのつもりだったけど後世の人からKAITOだとみなされてしまった。
逆に言えば、「KAITOはまだ残っていて、作ったものはKAITOが受け継いでくれていた」ともとれるわけです。
さらに、もしかしたら、「この声ちょっと違う歌わせ方してない?」「このKAITOなんか髪赤くない?」というところから、後世の人も「AKAITO」に辿りつけるかもしれません(声だけからAKAITOに辿り着けたらとんでもない猛者ですが)。
仮にAKAITOが忘れ去られてしまっても、またその概念は息を吹き返すかもしれない。 そんな可能性も、まず「KAITO」が残っていなければ成り立たないのです。
額の外側の人がいなくなっても(=作者がどんな思いを込めたか誰にもわからなくなっても)、KAITOはこの額を掲げ続けてくれるかもしれません。
ですから、この場面には「AKAITOもだけど、KAITOにも1000年生きててほしい」という思いが込められています。これがKAITO誕も兼ねている理由です。
そもそも、今AKAITOのことが好きだ!という人も、最初のきっかけはKAITOから入ったという人がほとんどだと思います。
だから、何か作品を残していれば、KAITOやその亜種が完全に忘れ去られることはきっとないだろうと思います。
そんな風にVOCALOIDを愛する我々に、AKAITOくんはこうして笑いかけてくれるのです。
ちなみにこれはめちゃくちゃどうでもいい蛇足なんですが、 1番サビで画面全体を揺らすと下の絵みたいに見えて面白くなってしまったので歌詞だけ揺らしました。
おわりに
一応弁明はしたけど意図の割に後半サビの演出がちょっと怖く見えてしまったのでそれはもうごめんとしか言いようがないです。
いやでもあそこ妙に明るい顔にしたら「AKAITOがいなくなってせいせいしたぜヒャッハァ!」みたいに見えるじゃないですか!
え、じゃあ額縁だけにしとけばよかったじゃないか、だって? そ、それはさあ……原曲MVにあるような時間の経過が伝わらないし……でも周りに物を付け足せるほど時間に余裕がなかったし……ゴニョゴニョ……
すみませんとにかく誰かを傷つけようという意図は一切なかったのでそれだけはご了承願いたいです。
というわけで今回はこの辺で! まだ解説記事出してないカバーとか、過去のカバーに一言裏話とかもしたいなーとは思ってるので、そのときはまたよろしくお願いします。
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